江戸三・大和屋


氷あずきを堪能してひとしきりおしゃべりしたあと、幕間の弁当を調達しに三越へ。ま、軽めにしておこうよ……っことで、売り場を一周して、売り子さんの迫力に押されて江戸三・大和屋の浪花いなり。
本当は、つくだ煮のお店だそうで、お稲荷さんのご飯にそのつくだ煮が混ぜ込まれており、10種類の中から好きなものを選べます。
4個入りにして、しいたけ、ちりめん山椒、鮭、あさりをチョイス。どれも小ぶりで、お揚げもあっさり炊かれています。どれもおいしかったけど、一番気に入ったのはしいたけかな。
佃煮と言ったら東京のイメージがありますし、実際、見た目はモロに佃あたりにある老舗の物とおんなじ雰囲気ですけど、食べてみるとやっぱりちょっと違う。今度は少しつくだ煮も買ってみたいな。
歌舞伎なんですが、今日観たのは、新橋演舞場の八月花形歌舞伎の三部。演目は、「宿の月」「怪談乳房榎」の2本。
「宿の月」は、田中青滋作の舞踊劇で初演が1955年(昭和30年)とのことなので、かなり新しい演目なんですね。いつも見ている舞踊とはちょっと違う感じだなぁと思っていたのですが、それも納得。
夫婦の情愛をユーモラスに描いた小品で、新婚当初はかいがいしく夫の世話を焼く可愛い女房だったのに、子をなして数年たつと貫録も出てきて、小判磨きに余念がない妻おつるを扇雀丈、とぼけた味わいの夫亀太郎を橋之助丈が扮しています。最後は、泥棒に襲われたと一芝居打った夫に対して、妻は、お金なんかいらないよ無事でいて頂戴と叫んで、夫婦二人で月を見る。めでたしめでたしで幕、というお話でした。扇雀丈と橋之助丈の肩の力が抜けたような踊りが観てて楽しかったです。
怪談乳房榎」は、私が初めて歌舞伎座で見た歌舞伎でして(正確に言うと、初めて見たのはその前に上演された「お国と五平」になるんですが)、その時勘三郎丈が扮した役を今回は勘太郎丈が演るということで、非常に楽しみにしていました。
これって、怪談っていうより、早変わりの妙を楽しむお芝居かなとも思うのですが、ここで変わるんだよね、あそこで入れ替わるんだよねって分かっていても「おおー」と言ってしまう。それにつけても、勘太郎丈はほんとにお父さんそっくりね(声が)。ちょっと余裕がない印象も受けましたが、やっぱり楽しかったです。