うまき弁当


新橋演舞場で催されている七月大歌舞伎の昼の回を観に行ってきました。
普段は3階席ばかりの私ですが、今回は大奮発して1階席。しかも、一番前の真ん中。もちろん、こんないい席自分で取れるはずもなく、知人に取っていただいたものです。ちなみに、「そんないい席で見るのなら、俺も行く」ということで、今日は夫も同行。夫の分まで取っていただきまして、ありがとうございました。
「結構目のやり場に困りますよ」と言われていましたが、確かにその通りでして、かなりの頻度で役者さんと目が合うのです。恐らく、役者さんのほうは見ているようで見ていないのだと思いますが、視線的にはがっちり会う。何度もにらめっこで負けた気分を味わいつつも、最前列を堪能しました(嗅覚がやたら鋭い夫は「役者さんが出てくるたびにいいにおいがする」と言っていたのですが、衣装に着替える際にお香をたいている役者さんもいるようなので、その香りがしたのだと思います。私はちっとも気づかなかったけど)。
それにしても、最前列ってのは、ちょっと首が痛いですが(若干見上げる形になるので)、双眼鏡はいらないし、義太夫はよく聞こえるし、舞台を遮るものも何にもなく、とっても快適。それゆえの価格ではあるのですが(1等Aのチケット代は私が普段座っている3等Aの3倍)、これぞという舞台のときはやはり1等で観たいものだな…と思いました。
なんで今回奮発するかといえば、やっぱり海老蔵丈が出ているからでして、富樫や高力士の端正な佇まいを肉眼で拝めたのは眼福でした。夫ですら、「きれいだなぁ」と何度も言っておりましたが、あんだけの美丈夫はなかなかおりませんですよ。永遠に年を取らないでほしいと思いますが無理なので(当たり前)、今の美しさを拝めるうちにせっせと拝んでおこうと思います。
今回の演目は、義経千本桜の「鳥居前」、「勧進帳」、「楊貴妃」の三本。
「鳥居前」は、源九郎狐を右近、静御前を笑也、弁慶を猿弥、早見藤太を寿猿、源義経を門之助という配役。右近丈は動き、セリフともにキレが良く、はっとするようなさわやかさがあります。笑也丈があまりにもきれいでうっとりしました。
勧進帳」は弁慶を団十郎、富樫を海老蔵源義経梅玉という配役。
海老蔵丈のセリフ回しって、気になるときもあるのですが、今回は全然気にならなかった。見得も観れたし、最後の弁慶の飛び六法も観れて満足満足。
楊貴妃」は大仏次郎原作の新歌舞伎。人によって好き好きみたいですが、私は結構楽しめました。楊貴妃福助、高力士を海老蔵、一の姉を笑三郎、二の姉を春猿、三の姉を芝のぶ李白東蔵玄宗皇帝を梅玉という配役。
最初のシーンで楊貴妃+三人の姉が出てくるシーンがあるのですが、春猿丈がどこからどう見ても女性(というか、おばさん)にしか見えない怪演を見せ、完全に場を食ってしまっていたのにはホントに笑いました。笑三郎丈も芝のぶ丈もおきれいな役者さんなうえ、主役の福助丈も相変わらず色気むんむん。女優陣はかなり濃いメンツです。
ストーリー的には、美貌の宦官高力士の楊貴妃への歪んだ愛ってのが、話の核になっており、特に最後高力士が楊貴妃を殺すところがハイライトになりますが、そこに至るまでの煩悶とカタルシスがさらっとし過ぎだったかなぁという気も。ただ、福助丈の濃厚な演技と海老蔵丈の美貌で、そこらへんはチャラって感じもしました。いろんな意味で濃厚な舞台でした。
お昼は、新宿の小田急百貨店によって弁当を調達。私はうまき弁当、夫は釜旬のお稲荷さん。
普段は一番最初に行った日に筋書きを買うのですが、筋書きは中日を過ぎると写真入りのものに差し替わるので、今月は写真入りになったのを見計らってから購入。ブロマイド買ってもいいんだけどね、キリがないんで、私は写真入り筋書きで満足しております。